BLE、WIFI、Sigfoxなど、ICTの無線技術をご紹介!

BLE、WIFI、Sigfoxなど、ICTの無線技術をご紹介!

 BLE、WIFI、Sigfoxなど、ICTで使用されている無線技術をご紹介します。

IoT

ICTには様々な無線技術が活用されています。JINTOでもBLEやWIFI、4G/LTEを利用してクラウドへデータを送信しています。各無線通信規格にはそれぞれメリット・デメリットがあり、用途も適材適所です。今回はICTでよく使用される無線規格をご紹介します。

無線規格の分類

wifiルーター

ICTに活用されている無線規格には大きく分けて移動通信システム・近距離通信・LPWAに分類されます。

移動通信システムはモバイル通信に使用され、基地局からの電波が届く範囲で通信が可能なため、郊外を除き全国で通信が可能です。4G/LTEという通信規格が2018年、現在は主流となっています。2020年以降は5Gという移動通信システムが主流になると言われています。

有名な通信規格のWiFiは移動通信システムとは全く異なり、近距離通信に分類されます。WiFiやBluetoothは自分でルーターを設置し、そのルーターの電波が届く範囲で通信が可能です。また、機器同士で通信することも可能なため、スマホ間通信にも使用されます。

LPWAは低消費電力・遠距離通信可能な今注目の通信規格です。ICTに使われるセンサーノードにもLPWAを使用しているサービスが多々あります。

表にして簡単にまとめてみました。

移動通信システム
通信規格名通信速度備考
3G384k~14Mbps通信速度は遅いが、障害物があっても電波が届きやすい
4G/LTE50Mbps~1Gbps動画のストリーミングも遅延なく視聴できる
5G1Gbps~50Gbps映像のリアルタイム視聴やIoTなどのセンサーを同時接続しても遅延がない
近距離通信
通信規格名通信速度備考
WiFi11Mbps~6.9GbpsルータとPCやスマホ間での通信に使用し、お店などでも使用できる
Bluetooth BR/EDR3Mbps半径10m~100mの近距離での機器間通信に使用される
BLE125kbps~2MbpsBR/EDRと比較して低消費電力、Bluetooth 5の場合は通信速度を変えることで通信距離を400mまで拡大できる
ZigBee20Kbps~250kbps多数の同時接続が可能
LPWA
通信規格名通信速度通信距離備考
LoRa250kbps10km程低消費電力かつ遠距離通信が可能
Sigfox100bps50km程サービスエリア内であれば通信可能(2020年に全国対応予定)

移動通信システム

スマホ

スマホなどでweb接続する際に使用される通信システムです。現在(2018年)の主流は4G/LTEですが、今後は5Gになると思われます。ですが、4G/LTE、5Gともに障害物で電波が届かない場合や、対応エリア外などでは3Gが活用される場合もあります。郊外にある農地などは4G/LTEの電波が届かなく3Gの電波は届いているケースが少なくありません。

LPWAと比較すると消費電力は高いですが、通信速度は速いため、画像や動画、音楽ストリーミングなどの通信に適しています。通信量が少なく、通信速度も遅くても障害がない場合はLPWAを採用したほうがいいでしょう。

3G(第3世代移動通信システム)

通信速度は384kbps~14Mbps程で通話や動画配信には問題ない速度です。4G/LTEと比較して通信速度は遅いですが、障害物があっても電波が届きやすく、4G/LTEでは届かない箇所にも3Gなら電波が届く可能性があります。

4G/LTE(第4世代移動通信システム)

通信速度は50Mbps~1Gbpsで3Gよりも速度が速いため遅延のない高画質な動画配信が可能です。3Gと比較すると電波の直進性が高いため、建物内などに電波が届かないことがあります。

5G(第5世代移動通信システム)

今後増大するIoT機器やウェアブル端末などに対応するために、4Gよりもより通信速度が速いです。通信速度は1Gbps~50Gbpsで、リアルタイムな動画配信や、応答速度が要求されるロボット制御などに活用される予定です。2020年にサービス提供開始予定です。3G・4Gと比較するとさらに電波の直進性が高いため、基地局の影や建物内などに電波が届かない恐れがあります。

近距離通信

wifiルーター

WiFiやBLEなどはスマートフォンに搭載されていますが、他にもZigBeeなど様々な通信規格があります。機器間通信に使用され、通信規格によって通信速度・消費電力が異なるため、通信量や用途によって通信規格を選定する必要があります。ICTでもGatewayを設置し、Gatewayとセンサーノード間通信にはWiFiやBLEを使用する場合があります。

WiFi/無線LAN

WiFiが内臓したスマートフォンやPCとWiFiルーターを接続してインターネットに接続するケースが多いです。WiFiの中でも様々な規格があり、通信速度が異なります。最新のIEEE802.11acの最大通信速度は6.9Gbpsと従来の通信速度と比較すると非常に速くなっています。通信速度は対応機器とWiFiルーターともに対応している規格で変動します。ICTでもタブレットなどとWiFiルーターを介して、インターネットに接続しています。

BLEと比較すると通信時の消費電力が大きいですが、データ容量が大きい場合はWiFiの方が通信速度が速いです。農業ICTのセンサーノードにもWiFi通信可能なモジュールがたくさん販売されています。消費電力が大きいので電池残量との兼ね合いでBLEやLPWAを使用したほうが良いケースもあります。

Bluetooth

BluetoothにもBluetooth BR/EDRとBLEがあり、それぞれ規格が異なり、互換性はありません。またBLEにもさまざまなバージョンがあり、現在の主流は4.0以上ですが、今後は5.0へ移行していくと思われます。BLEは通信速度は速くないですが、低消費電力なので、ICTではセンサーノードとGateway間の通信でBLEが活用されているケースが多いです。

BLEの通信距離がそれほど長くなく、4.2でも100mでしたが、5.0からは通信速度を遅くすることで最大通信距離を400mまで延ばすことも可能です。

BLEは直接インターネットに接続できないため、BLEルーターやスマートフォンなどで4G/LTEやSigfoxへ中継する必要があります。JINTOではスマートフォンを使ってBLEで送信されたデータを4G/LTEへ中継しています。

ZigBee

ZigBeeは低消費電力かつ通信速度が遅いため、機器間通信によく使用されています。WiFiやBluetoothよりも知名度は低いですが、リモコンなどに使用されているので知っている人も少なくないかと思います。低消費電力かつ通信速度が遅いのでBluetoothで代用できますが、多数接続する場合はZigbeeの方が適しています。また、Zigbeeは中継機能が搭載しているので、複数の機器を点在して設置することで通信距離を延ばすことが可能です。

LPWA

IoT

LPWAやLow Power Wide Areaの略で低消費電力かつ遠距離通信が可能な通信技術になります。IoTには低消費電力は欠かせない要素になります。また、広大な農地などでの使用を想定すると、遠距離通信も欠かせません。近距離通信用の無線規格では数百m程だったのに対し、LPWAは数十km程の通信距離があります。近年開発されたSigfoxという通信規格は基地局のサービスエリア内であれば直接インターネットに接続することも可能です。

LoRa

LoRaはLPWAの一種で低消費電力及び10km程の遠距離通信が可能です。広大な農地などでローカルネットワークを構築する際は最適な通信方法です。また、最近だとLoRaのGatewayも販売され、Gateway経由でインターネットに接続することも可能です。しかし、インターネットの接続を目的としている場合はSigfoxのサービスエリア内であればSigfoxを選択する方が最適な場合もあります。

Sigfox

SigfoxはLPWAの一種で、自分でGatewayを設置しなくてもインターネット接続することが可能な通信方法です。ただし、Sigfoxのサービスエリア内でなければ通信することができません。サービスエリアは下記URLから確認することができます。

Sigfoxサービスエリア

2020年には日本全国にサービスエリアを拡大する予定なので今後の農業用IoTでインターネットに接続する場合は最適な通信方法です。今後利用が増大すると予想されます。

技術基準適合証明

様々な無線の通信規格をご紹介していきましたが、日本国内で使用する場合は電波法令で定めている技術基準に適合している無線機かどうか確認してから使用しましょう。技術基準に適合している無線機かどうかを確認するには技適マークがあるかどうかで確認できます。また、総務省が技術基準適合証明等を受けた機器の情報を公開しています。

技術基準適合証明等を受けた機器の検索

最近だと技術基準適合証明を受けていないスマートフォンや無線機器がECサイトで販売されていますが、基本的に日本国内では使用してはいけませんので注意しましょう。

JINTOでは

温湿度センサー

JINTOでは複数のセンサーを設置することを想定し、WiFi及びBLE通信でインターネット接続できるモジュールを販売しています。BLEの場合はGatewayとしてスマートフォンを使用し、WiFiの場合はWiFiルーターを別途購入する必要があります。

スマートフォンも付属したBLE接続で簡単に温湿度を取得できるスターターキットを販売しています。

スターターキット

まとめ

様々な無線通信の規格がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあり、目的別に最適な通信方式を採用しましょう。ICTでは遠隔操作で使用することが想定されます。広大な土地で使用するのであれば遠距離通信は必須ですし、データの送信先もローカルネットワークインターネットを通じたサーバーなのかでシステム全体の通信方式を選定する必要があります。また、バッテリー駆動の場合は低消費電力なBLEやLPWAが最適です。画像や映像をクラウドへ送信する場合は通信速度の速いWiFiや4G/LTE、5Gの方が適切でしょう。用途・目的に合った通信方式を採用するようにしましょう。

無線に関する専門用語集

農業ICT
農業をシステムで管理し、より効率的に生産性を向上させる方法
移動通信システム
モバイル通信に使用され、消費電力は大きいが基地局の電波届く範囲で通信可能
近距離通信
数十m~数百mの範囲で通信が可能で通信速度は通信規格毎に異なる
LPWA
Low Power Wide Areaの略で、低消費電力・遠距離通信が可能な通信方法
技術基準適合証明
特定無線設備が電波法令の技術基準に適合していることを証明(電波法第38条の2)

キーワード: IoT